レッドタートルを終えて
シンゴジラは確かに迫力があって見ごたえがあったが、何故か満足感はなかった。
すっきりしただけというか。 ゴジラの上映前CMでも印象的だった「君の名」が
テレビCM流しまくったおかげか青春真っ盛り世代で人気のようだが、それはそれで
一般中高生向けかと思うとレンタルでいいかと見る気を無くした。
それよりも無声映画をジブリが作ったという記事があって、予告見たら一か八かの
予感がしたので早速見てきた。 以後はあえて記事を書くほど自分の中で整理を
つけたくなった作品だったので記録として残しておく。
物語りで印象的だったのは、
1 イカダ破壊によって島(迷い込んだ異空間)に閉じ込めようとするカメの目的
2 数日間放置状態なのに生き続ける男 (生かされる)
3 カメの死と変化を伴った復活 (変化が目的のため近づいた)
4 カメは殺してきた男を愛する (死の変化の為だから感情等は超越している)
5 津波で全員生き残る、竹を燃やす (運が良すぎる・SOSではなく再スタート)
6 子だけ旅立つ (独立心か津波で経験した孤独に対する危機感)
7 最後にカメに戻る (子も残せた、楽しい時を過ごした)
これらを大学で聞き流したうすっぺらい知識を元に考察すると、古典でよくあるような
異類婚姻譚で、あの亀はあの島の産土神の化身かなって思うと割りとスッと納得できる。
男は逃がさなかったけど、その目的の一つであった子はスッと脱出できてるしね。
表面的には男の生の理不尽さに対する格闘と受容そして幸福というシンプルな筋書き
でありながら、異空間支配者であるカメも津波の理不尽を受けていることから、
カメもまた大きな世界に内包される小さな神として束の間の余興を楽しんでいたのかな
という結論になる。
で、何がこんなもやもやしたかって言うとやっぱり視聴者は男視点なわけで、
そりゃ人生辛いことで理不尽なことばっかで、生きると決断する以上、結局受け入れる
しかないんだけど、現実はこんな夢みたいな女神はいないし、束の間の幸せさえ
訪れないだろうし、それどころかおそらく最初の放置で死んでるからあれ以降は
完全なフィクションなわけなのよね。 だから美しい理想の物語に一時的に
救われるんだけど、現実の私は根本的に救われようがないってはっきり
突きつけられているわけで、良い意味でも悪い意味でも沁みてくるんだよね。